エッセイ・NO.17 「令和2年 年賀状」 (2020.1.1)
謹 賀 新 年 2020(令和2)年 元旦 18歳で上洛し、学生生活が始まって間もなくのこと比叡山根本中堂にお参りし、そこで 『一隅を照らす 此れ国宝なり』という最澄伝教大師の言葉に出合いました。 それ以来、「社会の一隅にいても、光を放つ生活をすることが学道(仏道)の実践だ」と 心に刻み、私の生涯の宿題にして、九州・国東半島の片隅で、小さな寺院の仕事、筆工 房の仕事、地域おこしにかかわる時など、いつもこの言葉を指標とし、忘れたことはあり ませんでした。 以来52年、今年1月7日で古希を迎え、次世代にバトンタッチする歳頃になって思うに、 果たしてどこまでできたのやらと冷や汗しきりです。 幸い、皆様のご協力で願教寺は立派に修復できて、気持ちの良い環境を整えることが できました。ネットで全国から注文を受けている楽々堂の筆も、「気に入った筆で絵手紙が 描ける楽しさを味わっています」といって下さる方、「特別注文で作ってもらった筆を使用し て、京都南座顔見世興行の『まねき看板』を仕上げることができました」というビックリする ようなお便りと写真を送って下さった方もあります。しかし、半世紀以上も生きてきて、今 やっと出発点に立てたのかなとも思うのです。 女房と、僧侶・筆職人の相棒の二男と、犬1匹、猫6匹で歳相応に暮らしています。(長男 は京都在) 山中片隅ですが何時でもお立ち寄り下さい。 皆様にとりまして、幸多き年でありますように。 御堂順暁 【エッセイNO.】 【トップページ】 |